| 媛媛講故事―8 竜の九匹の息子たち 何媛媛 ![]() 龍には九匹の息子がいるのですが、その息子たちの誰も父親のような正真正銘の龍ではないし、それぞれ姿も形も性格も異なっています。 長子は贔屓(びし)といい、亀趺(きふ)とも呼ばれます。身体は亀の形で、重いものを背負っているのが大好きなのだそうです。それで、いつも大きく重い石碑を背にしています。中国のお寺、廟の庭、古い庭園などを訪れると歴史的由来などを彫刻した重い石碑を背負っている贔屓の姿をよく見かけます。 二番目の息子は狴犴(へいかん)といい、憲章とも呼ばれます。顔は虎に似ており、強い力があります。人間の行いの是非を糺すのが好きなので、監獄の門の上などに飾られました。 三番目の息子は、螭吻(りふん)といい、好望とも呼ばれます。螭吻は蛇に似て足がなく、遠くを眺めるのを好みます。また火を呑むこともできますのでいつも高い屋根の上で見張りをし、建物を火から守る役割をしています。 四番目の息子は椒図(しょうず)といい、貝にも蛙にも似ており、口をしっかり閉じています。玄関の門鈹*となって泥棒や外敵を追い払い、門番としての役目を忠実に果たしてきました。 五番目の息子は、囚牛(しゅうぎゅう)といい、身体は鱗で覆われていて黄色の小さな龍の姿をしています。囚牛は賑やかなことや、音楽が大好きなので、漢族の二胡だけではなく、彝族やチベット族などの少数民族の楽器にもその姿がよく見られます。頭を高く上げ、口を大きく開き、何か歌っています。 中国山西省の五台山には龍の五番目の子・五爺を祀った「五爺廟」という有名なお寺があります。五爺は人々の願いごとをよく叶えてくれるそうで五爺廟はいつも賑わっています。人々は願いごとがあると五爺廟にお参りし、願いごとが叶うと又、五爺廟にお参りし、賑やかなことが好きな五爺のために、爆竹を鳴らしたり芝居を奉納したりして感謝の意を表します。 六番目の息子は、蒲牢(ほろう)といいます。龍の子とはいわれるものの、鯨を見ると怖くて大きな声で吼えます。それで人々は、蒲牢を釣鐘の紐を吊るす飾りにし、鯨の形をした木で釣鐘を叩くと、蒲牢は大きな声で吼え、鐘の音は更に遠くまで響いて行きます。 七番目の息子は、饕餮(とうてつ)といいます。狼に似ていますがお酒を飲んだり、肉を食べたりすることが大好きです。青銅器に好く見られる饕餮紋がこの子の顔なのだそうです。 八番目の息子は、狻猊(さんげい)といい、獅子の別名にもなっています。姿も獅子そのものです。狻猊はじっと座って香の煙が立ち上るのを見ているのが大好きなので、仏像の台座や、お寺の香炉の足などになっています。 九番目の息子は、睚眦(がいし)といいます。山犬の顔で凶暴な目つきをしているそうです。性格も凶暴で戦うことを好むので刀の柄や剣鞘にその顔をよく施します。 *門鈹:門環ともいい、両開き門の左右の扉に取り付けられた金属の台座に輪を付けたもの。来客が来ると、その輪をガチ ャガチャと扉に打ち付けて家人に来訪を知らせます。 参考:中国雅虎・竜生九子の図 ******* 前に戻る TOPへ |
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