媛媛講故事―6

                
         黄帝と龍                何媛媛


 
昔、軒轅と言う英雄がいました。軒轅氏は戦神の蚩尤と激しい戦いをし、終には勝利を挙げて、三つの大部落と七十二の小部落を治める天下初めての統一国家を作りました。それが中国史の開祖として名高い黄帝です。

 
下統一を果たした黄帝は、新しいトーテムを決めなければと考えました。その頃、各部落はそれぞれのトーテムを持っていました。

 
んな訳で黄帝は「新しいトーテムは何がよいか」と大臣たちに訊きました。大臣たちは「天下統一を果たしたのは黄帝様の功徳によるものなので黄帝様自らが拠った、もともとの部落のものを使えば良い」と言いました。黄帝は「各部落が私を国の君主として認めてくれたのだから、民衆の期待に背いたり、独断で勝手に物事を決めてはいけない」と戒めました。そして各部落からの代表が、各自のトーテムを携えて黄帝のもとに集まり、一緒に新しいトーテムを決める会議を開くことにしました。

 
部落で使われていたトーテムは百種類近くもありました。牛、羊、象、魚、鹿、蛇、鷹、豹、イノシシなどなど。大臣達は、さまざまな意見を述べなかなか決まりませんでした。黄帝も困りましたが、「必ず天下統一と団結を象徴するものを造ろう」と考え、トーテムを何にするか考えて寝食も忘れるほどでした。

 
る嵐の夜、バケツをひっくり返したような激しい雨が降る中、天地を震わすような雷鳴が轟き、眩いばかりの稲光が暗い空に走りました。稲妻はこれまで見たこともないような奇妙な映像を空いっぱに力強く描き、黄帝に強い衝撃を与えました。

 
日、黄帝は大臣達を集め、昨日の夜の光景を伝えると「各部落のトーテムの一部分を利用し、世界のどこにも見られない動物のトーテムを作れ」と命じました。

 
して何日も掛けて終に、蛇の体、魚の鱗、馬の頭、鹿の角、イノシシの鼻、牛の舌、象の牙、鷹の爪、犬の尾をした動物が描がかれました。それはそれぞれの部落の象徴するトーテムの一部を使った、世界のどこにもみられない、威風堂々とした姿を持つトーテムの姿でした。まさに天下の「統一と団結」を象徴し、新しい国の強さを語っているようです。黄帝は楽しそうに呵呵と大声を上げて笑い、大臣達も満足し、天下の民が皆喜ぶトーテムが誕生しました。そして黄帝はこの動物に「龍」と言う名前を付けました。    

 
来、「龍」は、天に昇ったり、海に潜ったり、風を呼んだり、雨を降らせたり、自然界の森羅万象を司る神として、帝から庶民に至るまで畏敬される中華民族の吉祥と権威の象徴として崇められてきています。



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