| 媛媛講故事―10 嫦娥(じょうが)、月に上る 何媛媛 ![]() 「月には誰かが住んでいますか?」と中国人に訊いてみてください。多分殆どの人が「嫦娥が住んでいます」と答えるでしょう。嫦娥は中国の伝説に伝わる月の女神です。嫦娥は元々は九つの太陽を射ち落とした後羿(わんりぃ 2008年7月号/135号)の妻でしたが、どうして月に住んで居るのでしょうか。 後羿は九つの太陽を射ち落して大きな功績を挙げましたが、他の神々から中傷され、天帝はそれらの讒言を信じました。後羿は人間の世界に格下げされ、妻の嫦娥とともに人間界に降りて来たといわれています。 後羿とその妻の嫦娥は人間界に降りてきてからも、仲睦まじく幸せな生活を送っていました。その頃、下界では猛獣が出没し、人間や家畜を襲ったりしていました。後羿は矢を射るにかけては天下一の腕前を奮って人々のために猛獣の害を取り除いたり、獲物を分け与えたりしましたので、夫婦は多くの人望を集めていました。 しかし、後羿には悩みがありました。神としての資格を失いましたので人間同様の貧しい生活に加えて、寿命も決められることになり、最愛の妻にすまないと思っていました。 ある日、後羿は昆崙山に住む神の西王母のところに妙薬があり、それを飲めば不老不死になれると共に、天に上り仙人になることもできると聞きました。後羿はすぐ旅立ち、はるばる西王母を尋ねました。西王母も後羿夫婦の数々の善行に心を打たれましたが、薬は一人分しかありませんでした。 後羿はどうするか悩みながらも薬を持ち帰り、事実を妻に告げました。結局、愛し合う二人はどちらも、自分だけが薬を飲んで天界に上り仙人になることを拒否し、薬は箪笥にしまいました。 後羿の弟子・蓬蒙という悪賢いものが薬のことを知りました。蓬蒙は仙人になればどれほど良いだろうと思い、その薬を盗もうと考えました。 8月15日、後羿は狩に出かけて留守でした。蓬蒙は後羿の部屋に忍び込み薬を盗もうとしていましたが嫦娥に見られてしまいました。「悪人が仙人になれる薬を飲むのは決して許せない」嫦娥は必死で蓬蒙から薬を奪い取ると、急いで自分で飲んでしまいました。するとそのとたん嫦娥の身体は突然軽くなり、ゆっくりと浮かび上がり、そして窓を抜けて空へと舞い上がっていきました。嫦娥は上へ上へと上りながら、もう夫には会えないなら少しでも人間界に近いところにいたいと願い、月に向かって舞い上がって行きました。 夕方、後羿が帰ってきました。しかし妻の姿はどこにも見当たりませんでした。 家人から詳しく話を聞いた後羿の心は、今にも張り裂けそうでした。そして後羿がなにげなく窓から空を望むと、その日の月はいつもよりも真ん丸く明るく輝いて妻の姿が月に映って見えました。そして後羿は「あぁ、妻はこれからずっと月に居て私を見守っている」と信じることができたのです。 近所の人々も、嫦娥が月に上って、月の神になったと知り、日頃嫦娥夫婦に色々世話になっていましたので、それ以来満月の夜には庭にテーブルを出し、お菓子や、果物などを並らべて月に住むことになった嫦娥を祭るようになりました。 それが中秋節の起源といわれています。 ******* 前に戻る TOPへ |
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